【奈良】大和を訪ねると田舎風景の中に歴史的遺産を見い出すことが出来る!

和辻哲郎の「古寺巡礼」、亀井勝一郎の「大和古寺風物詩」など、奈良にまつわる歴史的名著は少なくありません。

それらの本は難解な哲学や思想の本ではなく、むしろ著者が奈良で出会った歴史的建造物や仏像などを再発見した感動がベースにあって、そうした感動を文章に纏め上げたものが、いつしか日本人の心の琴線に触れ、今に読み継がれて来ているととらえた方がいいように思います。

亀井勝一郎が残した「大和古寺風物詩」の風景は今でも残っている

とりわけ亀井勝一郎が斑鳩で体験した、法隆寺、法輪寺の五重塔、三重塔がバスの車窓から見え出した時の感動はそのまま、現在でもあてはまるものです。

風物詩を追体験しながら、斑鳩の里を歩いてみるのもまた、一興ではないでしょうか。ちなみに、亀井が風物詩を著したのは主に戦前から戦中に掛けてです。

執筆時戦後の敗戦はまだ経験していないながらどこか、滅びの美学を感じさせる大和盆地のとらえ方が、敗戦に打ちひしがれた日本人に、訴えるものがあったのかもしれません。

しかし、それと共に、負けても消し去ることの出来ないルーツがここにあることを、再発見、再確認させる風物詩すなわち奈良は、日本人の心のよりどころにもなりました。

現在の日本国内は平和そのものですが、国際情勢の中で見れば、決してそうとばかりは言えない状況にあります。

いつまで経っても解決しない領土問題もあれば、領土でありながら毎日のように、他国の船が近海まで押し寄せてくる異常事態は常態化したままです。

こうした時期だからこそ、奈良への旅はアイデンティティを回復させるきっかけになるかもしれません。

 

法輪寺へは「バス」を使って行くのがオススメ

それでは、戦前、戦中に亀井が訪れたように、アプローチにはバスを使います。近鉄郡山、筒井駅から奈良交通のバスが法輪寺に向かって出ています。バス停は「中宮寺前」で下車すると、徒歩15分で法輪寺に着きます。

バスが中宮寺前に近づくと、田園風景の中に三重塔が見え出すシチュエーションは多分、亀井が訪ねた時と同じだと思います。ただ、法輪寺の三重塔は戦争とは関係なく消失されましたので、現在見えるのは再建された三重塔です。

法輪寺は小さなお寺です。このお寺にこんな立派な三重塔が、しかも消失されて再建までして・・・・・という思いを抱くとすれば、なぜ古代の人はこんな田舎にこのような塔を立てようとしたのだろうかという思いと、重なりはしないでしょうか。

 

大和は田舎だが、歴史が深い場所である

大和は見方を変えればただの田舎です。しかし、その田舎風景の中に紛れもなく日本のルーツを辿れそうなくらいすごい歴史的遺産が散りばめられている、その一つ一つに亀井はものすごい感動を覚えたわけです。

いうなれば、大文字の歴史ではなく、小文字の歴史がそこかしこにある、それが大和の風景の魅力です。